東日本大震災で広範囲に被災した岩手県釜石市で
飲食業を行う機会を提供し、自立再建の支援活動に貢献した
「かまいしキッチンカープロジェクト」をご紹介します。
かまいしキッチンカープロジェクトでは、
店舗を失った被災者や失職した方が、
新たに飲食業を営もうとする人たちに対して
キッチンカーを貸与することで、
震災から立ち上がり店舗の再建を目指す人、
新規開店を目指す人などに再起のきっかけを提供しました。
震災から2ヶ月後に始動し、
これまで20台以上のキッチンカーが参加しました。
そのうち、半分以上がキッチンカーで自立再建し、実店舗を構えています。
震災前から釜石の水産物の首都圏への拡販ために開催した
釜石フェアで関わりのあったプラットフォームサービス株式会社が
自社ノウハウを活かした被災者支援として
官民連携型で「かまいしキッチンカープロジェクト」を開始。
震災から10ヶ月後の2012年1月にキッチンカープロジェクトの為の
株式会社釜石プラットフォームを設立し、全面的にサポートしています。
株式会社釜石プラットフォームでは、
釜石のまちづくり会社としての使命を担うことを目的とし、
キッチンカープロジェクトは「よみがえれ!釜石」を合言葉に、
市内の中小飲食事業者を支援し、
雇用の場を確保してその自立的復興を目指すとともに、
官民連携による事業プラットフォームの創生、
持続可能な地域の活力を新たに生み出すことを目標にしました。
当初はキッチンカーが被災地に求められているのか
モニタリングから開始。
震災90日後にキッチンカー2台で
お弁当とカレーを各30食ずつ用意すると、
開始30分で完売となりました。
津波被害等により需要と供給のバランスの崩れた場所では、
キッチンカーの需要が高く、キッチンカーによる
飲食事業の取組みに自信を持つ経験となりました。
キッチンカーの貸与は、
基本使用料25,000円と売上5%を
毎月支払う仕組みになっています。
出店場所と営業時間は、
事務局が各キッチンカー貸与者と話合い、
スケジュールを決定しています。
これまでのキッチンカー事業者は20以上となり、
ラーメン、郷土料理、和食、イタリアン、クレープなど
営業する店の種類は多彩です。
釜石市の内外を問わず、独自イベントの開催、
各種イベントへの出張、ケータリングサービスなど
ニーズに応じて機動的に展開しており、
地域の活性化の取組みの一つとなっています。
かまいしキッチンカープロジェクトは、
被災した飲食店の中でも特に小規模事業者の
営業再開に有効な手段の一つとなり、
事業者が早期に営業を再開できたことは、
生活再建と産業再生とを同時に進め、
自主再建を目指す「やる気」の持続に繋がりました。
被災者以外の方もキッチンカー事業者として参加できるため、
Iターンや Uターンとしての利用もあり、
かまいしでの起業ツールの一つとしても活用されています。
東日本大震災をきっかけにスタートとした
かまいしキッチンカープロジェクトで、
「自助」と「共助」の大切さを学びました。
さまざまな活動を通してつながった
全国のキッチンカーグループや協力企業とともに、
2016年3月に宮城県石巻市にて
「キッチンカーを利用した災害時の支援活動」について
合意形成を図りました。
その翌月の2016年4月に熊本地震が発生。
釜石・石巻の東北メンバーが熊本・福岡の九州メンバーと合流し
炊き出しを行うとともに、住民・行政・商工会との意見交換、
需要の調査や地元被災飲食事業者の起業支援に取組みました。
これまでの経験値を生かし、
志あるメンバーとともに活動を継続しています。
キッチンカーは災害時の被災地でも、求められる場所へ機動的にできたての飲食を届けることができます。被災地で飲食業を営まれていた方の自立再建の一助になったり、異業種の人でも新たな職として飲食業に挑戦するきっかけにもなります。かまいしキッチンカープロジェクトでは震災直後から素早く動き出した人たちがいて、たくさんの困難を乗り越え、長い年月をかけて持続可能な地域の活力を生み出し、その活動は全国にまで広がっていきました。
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